ご挨拶

帝京大学医学部附属病院血液内科/帝京大学医学部血液腫瘍研究室のHPを訪れてくださりありがとうございます。私は、診療科長を務めております教授の田代晴子と申します。私たちのグループは、2021年4月より現行の体制で活動しております。

私が血液内科医を志したのは、2000-2001年の研修医の時に受け持った二人の患者さんによるところが大きいかもしれません。二人とも若い患者さんでした。一人は急性リンパ性白血病で臍帯血移植をして、とても大変な治療経過ではありましたが寛解が得られ、今も元気にされています。もう一人の患者さんは、ほぼ急性骨髄性白血病(AML)に移行しつつある骨髄異形成症候群でした。臍帯血移植を行いましたが早期に再発され、二度目の移植を受けるも亡くなられました。もし二人とも簡単に治癒が得られていたら(もちろん患者さんにとってはそれが一番ですが)ここまで心を動かされなかったでしょうし、二人とも亡くなっていたら辛すぎて選べなかったかもしれません。患者さんの治療経過が少しでも良いものになるよう、そこに自分の時間を費やしたいと思いました。

そこから20年超を経て、血液疾患を取り巻く状況は大きく変わっています。当時は治らなかったような疾患も、新規薬剤の登場などで治療成績は大きく向上しています。移植医療もまた、支持療法の発達、前処置の工夫などでより安全に行えるように進歩してきています。ただそれでも、全ての患者さんに治癒が得られることはないわけですが、私たちのグループでは、ひとりひとりの患者さん、ご家族にここで治療して良かったと思っていただける医療を提供できるよう、日々努めております。

研究においては、私はAMLに対するCAR-T細胞療法の開発をメインテーマに研究をおこなっております。B細胞性腫瘍に対しては、CD19 CARやBCMA CARが目覚ましい効果をすでに臨床の場で示しておりますが、AMLに対するCAR-Tの開発には障害が多く、未だ確立したものがない状態です。C-type lectin like molecule 1(CLL-1)という多くのAMLに発現する蛋白に対するCAR-Tの開発を留学時代に行い、そこから発展させた研究をおこなっています。また、白崎良輔講師は、Dana-Farber Cancer Instituteに5年間の留学経験があり、CRISPR screenを用いた研究を精力的に行なってきました。さまざまなテーマでコラボレーションしながら研究室を発展させています。

学生教育にも力を入れており、講義や実習にて血液内科の面白さを少しでも多くの学生に伝えられるよう努力しております。そうした中から、研究室に興味を持って訪れてくれた学生が、現在は研究室の一員となっています。

若いグループですので、自由度が高いです。一緒にこれからこのグループを発展させていける仲間を募集しています。臨床に研究に、そして教育でも、さまざまなことを発信していけるグループにしていきたいと思います。

帝京大学医学部附属病院血液内科    診療科長・教授                                                                                    田代晴子